幼少期 魔法の練習１５ ガラスは  (1-7)



昼の食事を終えて夜の探索のために、ぐっすりと寝ておく。

随分前に、ベッドに戻るための足場にした木箱は、部屋の隅に戻されている。

また収納に入れてから木箱を絨毯の上に出して
オムツ用の布でもあれば、靴下の代わりに足に巻いて探索できる。

屋敷の中が分からない。ディアナが定期的に来るけど、他の家族も来ないし
食事の時しか顔を合わさない。

大人なら平気だが、他の子供達は淋しいんじゃないだろうか？

前世の大人だった京介の記憶があるショウは平気だが、
掴み処がないようなモヤモヤした気持ちを抱えていないだろうか？

本や玩具など気を紛らわすものが有ればいいんだけれど、
それぞれの家族の部屋も知りたいし間取りも確認したい。

そんな空想と妄想を考えているうちに、眠くなった。


  　　　　　＊　　　　　＊


「ふぁ～」
 【少しは、眠れたんだろうか？時間は・・・・】

時計を探しても在るはずもなく、採光窓のある方を眺めた。

木窓は閉まっており部屋は、薄ボンヤリしている。

隙間から漏れる光で判断すれば、夕方ぐらいだろうか？。

 【なんで、ガラスが無いんだろ？】

鉄器が作れているのならガラスがあってもいいんだけど、
窓にできる板ガラスを作るのは難しいのかも知れない。

ガラスは、珪砂・炭酸ナトリウム・石灰が主な原料。
地層や砂浜、塩と酸で炭酸ナトリウム水溶液を代用する。

石英、石灰、鉛、ホウ酸「硼酸石（サッソライト）」なども使用する。

溶解炉も必要だが、魔法陣や炎魔法もあるから
いくつかのプロセスもジャンプできるはずだ。


 【知識が足りないの？ 知ってる俺の方がおかしいのかもね。】


  　　　　　＊　　　　　＊


ディアナが来て、夕飯のために食堂に連れて行かれる。

抱き上げられていて重くないのか？と思う。

部屋を出て少ししたところで左に曲がり、少し歩いて
右に曲がり、少し歩いてある扉の前を通り過ぎ、
暫く行って左に曲がり、その壁沿いの扉に入ると食堂だ。

多分、子供の足で歩いたら３倍の時間が掛かるから抱き上げられているんだ。
御館、お屋敷というたてものなのだろうか？


 【でも、この家 かなり広いんじゃない？ 】


夕飯もいつもの様に満福に詰め込まれ
ゲップも出たので手を合わして食堂を退出した。

歩きたいけれど足を汚したらディアナに迷惑が掛かる。



  　　　　　＊　　　　　＊


部屋に戻り、ベッドに戻されるとディアナは、
オムツが濡れていないか、確認して部屋を出て行ってしまった。


 【 この家のトイレは、どこにあるんだろうか？】


トイレも木の便器なのだろうか？
木造の椅子に座るタイプなんだろうか？

時計があれば便利なんだが、
俳諧出来る時間はもう少し先だろう。

夜の７時くらいだろうか？部屋は暗い。

この世界の普通の子供なら寝る時間なのだろう。


 【・・・ミニライト。】

生活魔法の灯光を灯してみた。３０秒ほどで消える。

部屋の中を見回してみると、カーテンに隠れた採光窓の横にもカーテンがある。

その対角に暖炉がある。更にその対角は、部屋の扉がある。

魔法の灯りは、自然と掻き消えた。




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