側に居る人の気配に、そちらを向くショウ。
「おーおー」  【おはようございます。】

眠いながらも、にっこり笑うショウに、ほっとするディアナ。

身体に力を入れて起き上がろうとするショウだったが、
力が入らないし、魔力も練れなかった。


 【無理をし過ぎたかな？ 今日は大人しく寝ていよう。】


ディアナは、片手でショウの上半身を支えて少しだけ起こし、
陶器の吸い飲みを口元に近づけて傾けた。


  　　　　　＊　　　　　＊


ショウの口に入る甘い果実の風味と水分。
乾いた体に染み渡るような美味さと充実感がある。

 【寝てる間に乾いただけ？ 水魔法の？】


今は、難しい事考えても纏まらないので、もう一度寝ることにする。


  　　　　　＊　　　　　＊


「ふぁぁー よーねー」
 【ふぁぁー 良く寝たなー  】

不思議と腹が空いていない。何故か満腹感がある。
知らない間に授乳されて無意識に満腹になっている。

 【二重人格なんじゃないだろうか？ 半分寝ているだけと思いたい。】

分離された人格が、融合することもあるから心配はしていない。
それよりも体内に魔蘇を感じる。無くなっていたものが戻っていた。


 【ちょっと増えてるのかな？】


循環させようとしたら溢れる感じがしたから不思議に感じた。
食事や水分が、やっぱり何か関係があるのかも知れない。


 【他にも何か書いていないか？魔法の本を読んでみよう。】


神のヨセフ様からもらった５つの光の意味も知りたい。



  　　　　　＊　　　　　＊


寝返りをうって四つん這いになって座り、
扉を警戒するため、反転して前を向く。

収納から本を取り出してベッドの上に置く。
手を触れて少しの魔力を流し込む。

自動ドアのようにページが開く。
 【君は生きているのかい？ それとも魔道具ってやつかな？】

ページを見るとこの文字が、眼に入った。

白・黒・赤・黄・青
光・土・火・風・水
雷・闇・炎・回・木


  　　　　　＊　　　　　＊


誰かが来る気配を感じた。

 【収納ーー。寝たふりしよ！  】



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